貸し切りバス運転手、閉ざされた超縦社会

このページでは貸し切りバスの運転手の現状について書きました。よく見かけはするものの、知られざる世界ではないかと思います。
貸し切りバスの勤務はいろいろなところに行けるというのがメリットではあります。仕事の内容も様々で、修学旅行やスキーのツアーバス、花見バスなど。
日本全国を四季折々にめぐることができます。旅行好きにはもってこいの職業です。しかし現実は甘くありません。車の運転も旅行も大好き。だから向いてる。なんて甘く見ていると後悔します。
このページを読んで考えてみてください。

労働時間に上限なし

貸し切りバス運転手の労働時間には上限なんてものはありません。一応法律上は1日あたり16時間まで、翌日の勤務までは8時間以上あける。との決まりがありますが小規模な会社はほとんど守ってません。
高速バスは事故が多発したおかげで規制が厳しくなりましたが、近場のツアーバスなどは規制もゆるく、はっきり言って無法地帯のようなものです。いつ重大事故が起きても不思議ではありません。
かの有名な軽井沢のスキーバス事故も起こるべくして起きたと思います。
どんなに帰りが遅くなろうと帰庫後は洗車(手洗い)しなくてはなりません。新人の間は先輩のバスの洗車もやらされます。
先輩のほうが帰庫が遅い場合、全員が帰ってくるまで待っていなくてはなりません。超縦社会です。
しかも翌日の勤務によっては配車場所まで夜通し回送走行します。そのまま仮眠もせずに客を乗せて走ります。20~30時間連続走行というのも珍しくありません。

給料体系はキロ単価

貸し切りバス運転手の年収は300万程度です。
これはバス運転手の給料はいくらもらえる?のページでも書きましたが本当にこんなもんです。
日帰りツアーバスなどの増加により近場での貸し切りバス利用が増えています。給料体系はキロ単価で計算する会社がほとんどで近場は金になりません。
例えば1キロ10円の給料だと東京から大阪まで走っても5000円です。近場ならもっと金になりません。日帰りツアーは運転手にとってはきつい仕事です。
あっちこっちの観光箇所をめぐり朝から晩まで走りっぱなし。客は酒を飲んでドンチャン騒ぎで何度もトイレ休憩を要求されます。
しかも渋滞で遅くなっても全ての予定地に寄らなくてはなりません。なぜなら紹介料を旅行会社がすでにもらっているからです。
昔はどのドライブインで休憩するか、などは運転手が決めていました。なので店側も運転手が客を連れてくることを知っていたので運転手に心付けをくれたりなどの副収入がたくさんありました。このおかげで超低所得でもやっていけたのです。
しかし、今では休憩地点も全てツアー計画に組み込まれているので運転手がもらうはずだった心付けは事前にツアー会社が紹介料という形で搾取しています。この仕組みのおかげで激安ツアーは成り立っているのです。
運転手は副収入源を断たれ、キロ単価の給料しかもらえなくなりました。近場の仕事は走行距離が少なく、金にならなくなりました。

夜間高速バスが稼げたのは昔のこと

2012年4月29「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」がおきて以来、規制が厳しくなりました。
これまではワンマンで走っていた距離がツーマンで走ることになりました。しかし給料体系は相変わらずのキロ単価。同じ勤務時間で半分しか稼げなくなりました。
しかも総勤務時間にも規制がかかり無理して稼ぐということもできなくなりました。
また、2014年3月3日には富山県小矢部(おやべ)市の北陸自動車道上り線の小矢部川サービスエリア(SA)の駐車場内で、宮城交通(仙台市)の仙台発金沢行きの夜行バスが停車中のトラックに衝突。
2人が死亡。24人が重軽傷を負う事故が発生しています。こういった重大事故が起きるたびに規制が厳しくなり、さらに稼げなくなります。今後一層低所得化が進むでしょう。

貸し切りバス運転手は既婚でないと採用されない

貸し切りバス運転手ってバスガイドさんをヤッちゃえると思っている人もいるでしょう。しかし実際はヤッたらブラックリストに名前が載り、業界から追放されます。

運転手よりバスガイドが大事にされる

運転手ならば新人でもバスを1台動かせます。しかしバスガイドは一人前にならないと仕事ができません。
そうなるまでに時間とお金をかけて育てなくてはなりません。なのでバス会社はバスガイドを大切に扱います。
運転手は代わりはいくらでも入ってくると言われます。有力ガイドに嫌われると干されます。カカア天下ならぬバスガイド天下という状況です。間違いが起きないため運転手は既婚者のみの求人というわけです。

送迎バスの仕事はさらに安い

貸し切りバスが忙しい時期は決まっています。春は花見、秋は修学旅行やもみじ狩り、冬はスキーバス。繁忙期はまったくといっていいほど休めません。しかしそれ以外の時期は仕事が少なく安定していません。
バス会社は経営を安定させるため観光バスの車両を特別支援学校(旧養護学校)の送迎などに使用しています。これは仕事の量は安定していますが、入札のため請負価格が安いため運転手にもすずめの涙程度の給料しか払っていません。
なのでこれだけでは生活できません。昼間は送迎、夜は夜間高速という運転手も多いです。
貸し切りバスの運転手って「あこがれの職業」とされることも多いと思いますが、フトコロ事情はこんなものです。それでもやりたいって方は超人手不足なので歓迎します。覚悟を持っておいでください。
以上、貸し切りバスの運転手の労働時間についてお伝えしました。